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「とと姉ちゃん」がつまらない割に視聴率を稼ぐ理由?

      2017/09/15

小橋家 三姉妹のイラスト

朝ドラも第1週から過激なスタートダッシュを決めて見せないと”つまらない”_などと揶揄される時代でしょうか?

「とと姉ちゃん」ですが、視聴率的には同時期の「あさが来た」を上回っているそうです。それなのに、ネット上でつまらないと感想を漏らす人が後を絶たないのはなぜか?

個人的な見解になりますが、「とと姉ちゃん」の秘めたるポテンシャルは、近年の朝ドラ史上最強と予測しておりますw

なぜなら_。

刺激的ではない日常がつまらない謎?

まず「とと姉ちゃん」のヒロイン小橋常子は、前作ヒロイン白岡あさほど楔の効いた生い立ちではありません。「あさが来た」物語序盤では、時代の変わり目と家業(両替屋)の潮目、並びに許嫁_といったディテールが早々に出揃っていました。

外堀が卒なく埋められた安心感とでもいいましょうか_。

あさは視聴者の「こいつ何者?」_という問に対して、親切極まりない存在だったはずです。

一方「とと姉ちゃん」の常子はどうでしょう?

物語冒頭、家庭内の会話が敬語の小橋家に、多くの視聴者が戸惑ったわけです。時代背景を鑑みればとりわけ不自然な演出ではないにしろ、あえてやる効果には疑問が残ります。

そしてイケメンとと(父親)が早々に他界。しかも死の間際に常子に対して、「_女4人で生きていく困難を思うと・・・お願いだ・・・、ととの代わりを務めると約束してくれないか?」_みたいな十字架を長女に背負わせて逝きます;;

普通なら、「妹達、かかを宜しく頼む」_くらいで良さそうな所です。こういった設定(縛り)を見ると、「とと姉ちゃん」の物語序盤がいかに難しいものであったかが理解できます。

家庭内敬語も含め、外的な要因にあまり頼れないスタート地点。当時珍しくない母子家庭の日常ですからね。

「あさが来た」や「マッサン」、もちろんキャラで押した「まれ」にだって、ヒロインを惹き立てる捻りの効いたバックグラウンドがスタート地点にあったわけです。

漫画でもドラマでも主人公の目的こそが物語の最大公約数となり、内包する個々のエピソードに説得力を与えるはず。

「とと姉ちゃん」が仮につまらない?としたら、それはきっとドラマの約束事の部分を構成上少々後回しに描いている事に原因があるのではないでしょうか?

出し惜しみ状態?

小橋家三姉妹、とりわけ常子という原石が眩い輝きを放つには少々時間が掛かりそうです。

※大橋鎭子さんも常子同様、10歳で喪主を務めたそうです。

セオリーを裏切る個性的な脇役?

「とと姉ちゃん」がつまらないと呟いていた人達が、第3週目辺りでザワつき始めます。

小橋家は生活苦に陥り、東京・深川で老舗の製材問屋を営む祖母・滝子(大地真央)を頼ってに上京します。ついに朝ドラ定番、滝子による小橋家イビリが始まるかと思いきや、ちょっと様子が違いました。

「青柳商店」を仕切る滝子は一本筋の通った高潔な人でした。もう君子が世間知らずに思える程。さらに、ここまで一見すると掴みどころの無かったヒロイン常子の人を観る目や、周囲を見渡す洞察力など素質を見抜きます。

この援護射撃のタイミングが絶妙でした。藁をも掴むような展開が一転した瞬間です。

イビるどころか祖母・滝子の存在が一気に物語を加速させたのです。人との出会いが主人公を成長させる、ようやく朝ドラらしい手応えをひとつ得たような気がしました。

つまらないのに高視聴率推移の理由?

週タイトル/放送日平均
1常子、父と約束する
4/4~4/9
22.622.220.721.522.120.921.7
2常子、妹のために走る
4/11~4/16
21.122.221.322.523.622.422.1
3常子、はじめて祖母と対面す
4/18~4/23
21.622.223.424.423.922.923.0
4常子、編入試験に挑む
4/25~4/30
23.320.724.624.422.522.823.1
5常子、新種を発見する
5/2~5/7
21.722.723.522.723.223.422.9
6常子、竹蔵の思いを知る
5/9~5/14
22.524.124.023.922.422.223.2
7常子、ビジネスに挑戦する
5/16~5/21
23.223.522.223.022.522.922.9
8常子、職業婦人になる
5/23~5/28
21.622.722.423.723.921.922.7
9常子、初任給をもらう
5/30~6/4
21.923.123.523.823.521.622.9
10常子、プロポーズされる
6/6~6/11
23.123.524.623.522.822.723.4
11常子、失業する
6/13~6/18
22.521.822.322.724.122.922.7
12常子、花山伊佐次と出会う
6/20~6/25
23.924.323.323.823.221.623.4
13常子、防空演習にいそしむ
6/27~7/2
21.021.722.922.021.022.721.9
14常子、出版社を起こす
7/4~7/9
21.920.921.119.422.623.221.5
15常子、花山の過去を知る
7/11~7/16
22.023.322.623.323.121.922.7
16”あなたの暮らし”誕生す
7/18~7/23
24.323.025.323.524.523.324.0
17常子、花山と断絶する
7/25~7/30
22.223.924.822.723.522.023.2
18常子、ホットケーキを作る
8/8~8/13
23.923.023.323.024.218.022.6
19鞠子、平塚らいてうに会う
8/8~8/13
21.923.122.122.523.820.622.3
20常子、商品試験を始める
8/15~8/20
23.624.525.923.524.424.924.5
21常子、子供たちの面倒をみる
8/22~8/27
24.922.723.022.022.522.222.9
22常子、星野に夢を語る
8/29~9/3
24.725.722.822.321.020.922.9
23常子、仕事と家庭の両立に悩む
9/5~9/10
22.022.724.523.422.121.322.7
24常子、小さな幸せを大事にする
9/12~9/17
20.523.222.622.021.622.122.0
25常子、大きな家を建てる
9/19~9/24
21.723.821.123.122.622.522.5
26花山、常子に礼を言う
9/26~10/1
22.622.721.422.824.221.822.6

※スマホでは表がスライドします

第3週 「常子、はじめて祖母と対面す」(18~23日)の週間平均視聴率が23%超えだったようです。
期待値や前作の恩恵だけで、ここまで高視聴率をキープ出来るものか?

たしかに第2週までは、やや茶を濁すようなエピソードが目立ちましたが3姉妹を語る上で必要だったと振り返ります。

東京・深川編では脇を固める強力な俳優の登場で俄然面白くなってきました。環境(人間関係)が変わって、鞠子や美子の新たな一面も見られて新鮮です。

「青柳商店」の縁側で、美子が姉達を誘ってままごとをする場面、よっちゃんの芸達者ぶりや喰いしん坊な振る舞いは子供らしくて可愛いわけです。昭和を懐かしむには持って来いの演出w

君子にしても、どこか世間知らずな割に要所で厚かましいというか逞しいw 見方によっては私の母さんにそっくり。(笑) キレイ事がまかり通らない世界をしっかり描けている気がします。

今回の朝ドラは当面の間、こういう何でもない日常が見所な気がします。それで十分面白い!

感じ方は人それぞれですが、一見してつまらない事でも繋がった先で花開くなんて事がありますからね~。

※「とと姉ちゃん」が無事に完走しました。最終回の視聴率の低さがちょっと気になりますが、半年間存分に楽しませて貰いました。お疲れ様です_。

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