マッサン18週 「遠くて近きは男女の仲」はハナと俊夫の結婚のこと!?
2017/09/05
マッサン第18週「遠くて近きは男女の仲」は、想定外(想定内?)の幸福とまさかの不幸が同時に起こってしまう展開のようだ。
ここに至るまでも様々な荒波にもまれ続けた亀山夫妻だったが、ついに政春が自分のウイスキー造りに着手する事になる。りんご汁の他に手がけた、ワイン(アップルブランデー?)やゼリーの販売が利益を出していたが、、、。
しかしウイスキーに関しては時期尚早という事で、出資者の承諾を得てはいなかったのだ。しかし政春は鴨居商店の発売した人気ウイスキー「丸瓶」に心揺さぶられた。
もう待てない、出資者の目を欺いてでもウイスキーを仕込む事を決意する。
俊夫の結婚、英一郎の死
マッサン第18週だがドラマ年表は1934年(昭和9年)ということで、史実のニシン漁衰退期よりもずっと前となる。まあエッセンスとして物語に盛り込んだという事だろう。
「遠くて近きは男女の仲」という週タイトルに注目したい。これはどう考えても 熊虎の娘・ハナと蔵人・俊夫 の事だろう。顔を合わせればつい口喧嘩が耐えない二人だが実は心の中では好き合っているのだった。
ハナには青森のりんご農家から縁談の話が舞い込んで来たりもするが、、、。
「 ハナ、わしの嫁になれ! 」と俊夫がプロポーズ?
すると、「 命令される筋合いはねえ 」_とハナ。なかなかお互い素直になれない。それでも二人の婚約は熊虎の許しを得て、あとは祝言(結婚)の日を待つだけになった。
そんなオメデタイ雰囲気のなか、届いた英一郎の訃報。政春とエリーは急いで大阪に向かうのだった。
それとこの時代を描くドラマなら避けて通れない太平洋戦争勃発まであと7年(1941年)_である。竹鶴政孝のウイスキーがどうのように戦争を通り抜けるのか?とても興味深いよ。
※あらすじを参考にした憶測を含む記事です。実際のドラマの展開と異なる部分があるかと思います。
「わしに力を貸してつかあさい!」(by 政春)
英一郎の死も影響しただろうか?政春は俊夫とハナの祝言が無事終わったタイミングで北海道における最初のウイスキー造りを宣言する。
出資者を欺く形になる強引な手段だった。
ワインやゼリーの売り上げが、ウイスキー事業を担保するようになるのは遥か先。もうのんびりやっていては夢の実現は不可能だと。万が一失敗すれば、出資者からの信頼は完全に絶たれる危険な勝負になる。
しかし俊夫をはじめ、工場の仲間たちは政春にエールを送った。
鈍化しかけたウイスキーへの情熱
北海道・余市に来てからの政春はりんご汁工場の社長となり、その経営に追われていた。ウイスキーのために、リンゴジュース(後に”りんご汁”と改名)を売ることに必死になっていた。
そんな折にかつての弟子、鴨居英一郎の死の知らせが届く。鴨居の大将から英一郎が生前、マッサンが北海道で造るウイスキーを楽しみにしていたという話を聞かされる。
政春を中心に世界を見渡してしまうと、当然だけど全てが彼を引き上げる為の出来過ぎたエピソードのように思える瞬間がある。マッサンは多くの部分で史実に基いて描かれているドラマとはいえ、竹鶴政孝の人生の杞憂さを痛感してしまう。
こういう人生はある種の恵まれた画家の人生にも似たところがある。良きパトロン(スポンサー)に巡り会えなかったばかりに才能がありながら世に出ることなく人生を終える画家とは正反対のストーリーだ。
能力以上に人間関係がモノを言うのが世界の常識だと気づけない奴は損をしてしまう?竹鶴政孝(マッサン)の場合は、能力にも人にも恵まれたといっていい人生だろうか。ウイスキーというライバルもいないが市場も存在しない。そんな分野を開拓する試みが時代の気概に敏感なベンチャー精神旺盛な人々を上手く取り込んでいった。
自分自身を含め、誰にも悟らせない強欲さが導いた物語(サクセス)。
人たらし_といったら語弊があるかな?
過去記事でも時たまそんな言い方をしているが、「幸福の配分」である。政春という男は知らずのうちに、多くの人間のエネルギーを吸い取りながら目的を遂げているように見えなくもない。
仮に政春(竹鶴)が鴨居商店(寿屋)に残っていたらどうなっていただろうか?案外、両者共倒れしていたかもしれない。一人先を急ぐ人間というのは、いくども羽化を繰り返しながら、一番いい場所へ飛び去っていくものだ_。
ただマッサンを見ていて分かるのは、他人に投資しない人間は自分にも投資して貰えないという事だ。
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